「ミステリと言う勿れ」響く最高のドラマ

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近年見たドラマシリーズの中で最高に響いた、前クールドラマである「ミステリと言う勿れ」を見直しました。主人公の整(ととのう)くんの言葉がすごく心に染みます。田村由美氏の同名のマンガが原作で、現在も連載中の作品です。出版元の小学館の紹介には、”解読解決青年・久能整(くのう・ととのう)が謎も人の心も解きほぐす、新感覚ストーリー”となっています。確かに今までにない主人公設定の謎解き整くんは、一人暮らしの大学生にも関わらず、発する言葉は、論理的であり、知的なのに、子供っぽさもあって、笑ってしまうこともあり、全く新しい、非常にユニークな主人公になっています。整くんは、何かに縛られるのが嫌いで、既成概念にとらわれず、常に疑問を抱くというサスペンスものの中でも、新パターンの推理作品となっています。強いていえば、現代風シャーロック・ホームズの謎解きといえます。ただ、主人公のキャラが異なっており、今風の若者というところが違いですかね。拘りとかは、似ているのかもしれません。とにかく、必見のドラマです。

ゴミ出ししてるのだから手伝っている

刑事の池本が、整くんにぼやくシーンです。
仕事が忙しい中、ゴミ出しして手伝って
いるのに、奥さんが理解してくれない。
整くん曰く

”ゴミ箱何個あります?”
家中のゴミ集めから始まるんですよ。
分別できてなかったら分別して、
袋を取り替えて、生ゴミも水切って、
排水口の掃除もして、
ゴミ袋の在庫をチェックして、
そうやってやっと一つのゴミ袋に
まとめるんですよ。

そこまでが大変なんですよ。

ゴミを出しに行くだけで
手伝っていると言う事になならない。
ごもっともです。

どうして、いじめられている方が逃げなきゃいけないのでしょうか?

バスジャックに巻き込まれた整くん。
現場に一緒に居合わせた淡路一平が
いじめから逃げられず苦しんだことを告白。
それを聞いた整くんが、

どうしていじめられてる方が逃げなきゃなら
ないんでしょう?

どうして被害者側を逃げさせるんだろう?
問題があるのは いじめてる方なのに

と、疑問を投げかける。
いじめる側こそが病んでいる
まさに、今の社会は、被害者を守るような
体制になっていますが、加害者側の責任を
考える体制にはなっていないです。

真実は一つではない。真実は人の数だけある。

真実は一つなんかじゃない。真実は人の数
だけあるんです。

人は主観でしか物を見られない。
自分が正しいとしか言えない。

真実とかあやふやなことにとらわれるから、
えん罪事件が起きるんです。

でも、事実は一つなんです。

人は、物事を見るとき、自分の価値観や、
情報に照らし合わせて、ある一面からしか
見られない主観的な生き物だと思います。
相手のことを思いやって、と言っても
自分の主観で考えたことであり、本当に
相手が思っていることと同じかといえば
全く同じであることはあり得ません。
主観に基づき、偏見や先入観があれば
同じ”事実”を相手とは別の面から見てしまう
事になり、決して理解などできないという
ことになります。
できないからこそ、偏見や先入観を排除して
相手とコミュニケーションをとって、全く
同じではないにしても、理解しようとする
努力が必要
だと、気づかせてくれる整くん
の言葉でした。

メジャーリーガーの選手は、出産とかで試合を休むんです

最近、子供が生まれた池本刑事との会話で、
整くんが、アメリカ人と日本人のお父さんの
違いを説明しています。
アメリカ人のお父さんは、出産に立ち会い
たいのです。一生に一度のことなので、
行きたくて行くんです。

これに対し、メジャーリーグを中継していた
日本人のアナウンサーと解説者は、
奥さんが怖くて休むんでしょうね。
と言うんですよ。

日本人は、そう思ったことがないから、
彼らの行動が理解できないんです。
だから、大切な仕事を休んでまで、
無理やり行かされていると考えるんです。
アメリカ人にとって、子供の成長に立ち会う
ことは、
父親の権利だと思っているのです。
日本人は、
義務だと思っているのです。
ここに、
天と地ほどの差があるのです。
確かに、職種やタイミングにもよりますが、
日本人は出産に立ち会う場合に、決して権利
と考える人は多くないでしょう。
逆に、仕事が忙しくて、妻の出産に立ち会え
なかったことが、武勇伝のように思っている
方もいるのではないかと思います。
だから、「参加する」とか「手伝う」と言う
言葉が出るんです。
子供を産んだら女性が変わると言いますが、
当たり前です。ちょっと目を離したら、
死んでしまう生き物を育てているんです。

問題なのは、あなたが一緒に変わっていない
ことです。

心に突き刺さる言葉です。
すでに子育てを終わっていますが、
子育てを一緒にしたかと言われると、
仕事を理由に避けてたのは確かです。
もっと早く、権利だと気がついていれば
子育てをもっと楽しめたのにと思います。
まだ、彼女もいない、結婚も子供もいない
大学生の整くんが真理をつくというのが
すごいです。
さらに、最後にこう言っています。
でも、強制されることではないので、
池本さんの好きにすればよいと思います。

したことも、しなかったことも、
いずれ自分に返ってくるだけなので。

各親の子育ては、良くも悪くも、それぞれ
の親子関係に返ってくる。
もっと言うと、
各人の行動は、やがて自分に返ってくる。
深いなあ。

「自省録」からの引用

本ドラマ/原作には、16代ローマ皇帝
マルクス・アウレリウスの備忘録
自省録”から、引用が多用されています。
人生の真理を書いた古典です。
確かに古典ですので、読むのが難しい
ですが、一度は読んでおくべき書籍であり
必ず、それぞれ人生の糧
になると考えます。
劇中で使われたものは、購入されることが
多いと聞きますが、
この”自省録”も、このドラマのおかげで
かなり売れたようです。

妄想ですが、シーズン2あるでしょう

この作品の作者が、女性なので女性目線
で物事を捉えているところが、この作品の
キモだと思います。
なので、男性読者とくに子育て世代が
是非読んでおくべき作品だと思います。
他にもたくさん、整くんの名言(笑)が
散りばめられた作品です。
ドラマも、整くん役の菅田将暉さんが
素晴らしい演技しています。
原作の見た目、イメージと違うと、
ファンの間で物議を醸していたようですが、
私は、すっとぼけた演技で、場を読まないで
ずけずけと思ったことを言う主人公を
うまく演じていると思います。
さすが、若手トップ俳優だと思います。
私は、原作とは違いますが、この役は
菅田将暉さんで大正解だったと思います。
たぶん、シーズン2作られると推察します。
このドラマ視聴率低迷の時代に同クールの
ドラマで高視聴率を出してますから、
テレビ局も手放したりはしないでしょう。
ひょっとしたら、
今流行りのシーズン2+映画化のパターン
もあるかもしれません。
原作は、まだ続いていますから。
映画化に合わせたストーリが練られている
かもしれません。

ぜひ、今のうちに原作も全巻読むことを
オススメ
します。