Appleの創業者である、故スティーブ・ジョブズ氏は、没後10年経ちますが、今でもスーパースターとして人々の記憶に残っています。そして、2022年7月に、米国大統領自由勲章を没後に受賞しました。
受賞理由は、「彼のビジョン、想像力、想像力が世界のコミュニケーション方法を変え、コンピュータ、音楽、映画、ワイヤレスの業界を変革する発明を生み出した」とのことでした。
そのジョブズ氏の生前のインタビューやスピーチで語った言葉、”生声”を集めた本が発売されました。
久々に、ジョブズ氏の言葉を読んでみると、ジョブズ氏の思い入れと共に、今の時代が失ったものを思い出させてくれます。
今だからこそ、読み、立ち止まって見直すべき、熱い本です。
本の紹介
全世界で25万部越えの”生声シリーズ”で、
日本でも、文響社から、
第一弾として、
”スティーブ・ジョブズの生声”
”ジェフ・ベゾスの生声”
の2冊が同時に刊行されました。
このシリーズは、
21世紀をリードする実業家や著名人の
インタビューやスピーチなど、
実際に発言した生の声をまとめた発言集
となっています。
写真表紙の「電子書籍」版です。
スティーブ・ジョブズの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実【電子書籍】[ ジョージ・ビーム ] 価格:1,738円 |
ジェフ・ベゾスの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実【電子書籍】[ ヘレナ・ハント ] 価格:1,738円 |
紙版は、こちら。
スティーブ・ジョブズの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実 [ ジョージ・ビーム ] 価格:1,738円 |
ジェフ・ベゾスの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実 [ ヘレナ・ハント ] 価格:1,738円 |
第二弾で、
”イーロン・マスクの生声”
”マーク・ザッカーバーグの生声”
が発売されています。
本の内容
物語ではないです。
1ページに、1発言が書かれています。
下には、英文のジョブズ氏の発言した
オリジナル文も記載してくれています。
オリジナルの英文を読むことで、
発言の内容が正確に分かるし、
英語の勉強になります。
(できれば、もう少し英文フォントサイズ
が大きいと読みやすかったです。
スペースの問題もありますが、
ちょっと小さく感じました。)
各章分けは、
Part1:1981 – 1991 挑戦
Part2 : 1993 – 1996 逆境
Part3 : 1997 – 1999 リベンジ
Part4 : 2000 – 2004 飛躍
Part5 : 2005 – 2008 プライド
Part6 : 2009 – 2011 未来
セレクション:1982 – 2011
となっており、
アップルの創業期から、
Part1が始まります。
各パートの最初には、
それぞれの年に起きたイベントを
簡単に記載されています。
パートタイトルと写真と共に、
その時、ジョブス氏がどんな状況
であったかが、よくわかるように
工夫して、まとめられています。
ジョブズの生声の抜粋
各パートで、個人的に響いた、
ジョブス氏の言葉を、本書から
引用させてもらいます。
Part1 最高品質 (p30)
自分たちがつくれる最高のものを作りたかっただけさ。
“Playboy”誌 1985年2月
例えば、家具職人が立派なタンスをつくる時を想像してほしい。
裏側にベニヤ板なんて使わないよね。
壁に面して誰にも見えなくても、自分にはその存在がわかっているから立派な板を使うんだ。夜、ぐっすり眠りたかったら、美しさや品質へのこだわりを最後まで貫くべきだよ。
コストは、重要です。
でも、
コスト優先の時代だからこそ、作り手の
”こだわり”を考え直すべきなのではないか?
と思います。
Part2 コネクティング・ザ・ドット (p62)
この業界で働く人の多くは、幅広い経験を積み重ねてきていない。
“WIRED”誌 1996年2月
そういう人は、持っている点の数が少なくて、点と点がつながっていかないんだよ。
問題を広い視野で捉えることができず、極めて短絡的な解決法しか思いつかない。
経験からいろんなことを学べば学ぶほど、デザインは磨かれていくんだ。
スタンフォード大学卒業式スピーチで
有名になった、”点と点をつなぐ”。
人生で得た経験が、
どこで、何に生きるかは、わからないから、
色んな経験をしておくことで、必ずどこかで
役立つと言っています。
何でも、やってみないとわからないことは
多いし、好きなことでも、嫌いなことでも経験を積むことで、どこかで、何かに活かせ、
人生を豊かにしてくれると思います。
どんなことも自分の気持ちの持ちよう
なのだと思います。
Part3 問題解決 (p80)
いざ問題に取りかかると、複雑さが見えてきて、ややこしい解決策ばかり思いつくものだ。
“AppleDesign” 1997年
たいていの人はそれ以上考えない。
その解決策でも少しの間ならうまくいくことも多いしね。
だけど、超一流の人は考え続けるんだよ。
根本的な問題を見つけ出し、どのレベルでも使えるエレガントな解決策にたどり着く。
Macで目指していたのが、まさにこれなんだよ。
確かに、時間に追われ、早急な対策をして
しまいがちです。
経験上、
暫定対策だけでは、必ず、後で問題を
引き起こします。
暫定対策とともに、根本対策をしっかりする
ことは大切です。
でも、
解決策が見つかると、飛びついてしまい、
それが最良解だと思い込み、それ以上は、
思考停止になってしまったことは、
多々あります。
耳が痛いです。
Part4 デザインの本質 (p124)
たいていの人は、デザインという言葉にベニヤ(うわべを飾るもの)の意味があると理解している。
”フォーチュン”誌 2000年1月24日
室内装飾やカーテン生地、ソファーの生地のことだ。
しかし、私に言わせれば、デザインにそんな意味はまったくない。
デザインとは人間の創造物の根底にある魂であり、それが最終的に製品やサービスるの外層に現れてくるのだ。
なるほど、確かに表面的なことがデザイン
だと勘違いしていました。
根底にある思想(魂)、なんですね。
製品の中の魂が発するものが、デザインと
なるわけなのですね。
Part5 人生について (p170)
君たちの時間は限られている。
スタンフォード大学卒業式のスピーチ 2005年6月12日
だから、他人の人生を生きて時間を無駄にしてはいけない。
ドグマにとらわれないでほしい。
それは、他人が考えた結果に従って生きることと同じなんだ。
他人の意見という雑音で、君たち自身の内なる声がかき消されてしまってはいけない。
そして何より大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことだ。
自分の心と直感は、自分が本当は何になりたいのか、どういうわけかすでに知っている。
他のことはすべて二の次で構わない。
会社員として過ごしてきて、
この言葉は身に沁みます。
いつの間にか、
会社の方針(他人の決めたこと)に沿う
ように実現することが仕事だと思って
やってきました。
自分が、本当にしたいこと、
自分の内なる声に耳を閉ざして。
卒業スピーチから、すでに20年近く経ち
ますが、初めて聞いた時は、感動しました。
でも、結局流され、今があります。
自分の気持ちに素直に従う勇気がなかった
のだと思います。
Part6 スペック (p216)
機能や利点、RAMのスペックなんか並べ立てても宣伝効果は得られない。
“Return to the Little Kingdom” 2009年
グラフや比較表を使ったところで同じだね。
相手に伝わるのは心に響くものだけだ。
昔、営業によく言われたました。
”技術屋は、技術的なことを自慢げに
プレゼンに書くけど
お客の幹部は理解してくれない。”
相手に伝わるのは、どれだけ良いのかを
相手に感動を与えるぐらい、
訴える気持ちだと思います。
書感
やはり、ジョブズ氏の言葉は、
真理を捕らえていると思います。
物語ではないので、何度でも、
日めくりのようにページをめくり、
その時に合う、ジョブズ氏の言葉が
心に響いてきます。
昨今の低迷している日本経済は、
企業のあるべき姿、原点に戻る必要がある
と強く感じます。
かつて1970年代の日本企業は、
模倣からスタートしつつも、
色々なアイデアと技術力を磨き上げ、
イノベーションをもたらす製品を
作り上げてきました。
そして、
今まさに、世界一になったその時代の
マインドを取り戻す必要があると感じます。
ジョブズ氏は、その頃の日本および日本人を
崇拝していました。
そんな日本に戻るための一つのツールとして
この本を活用できると思います。
特に、20代の若い、これからの世代に
ぜひ、読んでもらいたい一冊だと思います。
もちろん、
現役のビジネスマンにとっても、
ジョブズ氏の言葉は、必ず、何らかの仕事の
進め方のヒントになると思います。